東京高等裁判所 昭和28年(く)62号 決定
本件抗告申立の要旨は、原裁判所が昭和二十八年六月五日被告人に言渡した有罪判決に対して抗告人が昭和二十八年六月十七日午前八時頃毛呂山郵便局より書留郵便を以て、原裁判所宛東京高等裁判所に対する控訴申立書を同封し、発送したところ、上訴期間を経過した昭和二十八年六月二十日原裁判所に配達されたものであるが抗告人は同裁判所々在地と毛呂山との通常郵便物の郵送状況は三日間の日時(発送した日を含む)を要すれば到着するものと信じ、且つ毛呂山郵便局員にも同月十九日迄に到着する旨の言を確めた上、郵送したものであるところ、右控訴申立書は毛呂山より越生局を経て郵送され、その間越生局の事故により同月十八日午前八時三十六分発の郵便車にて発送すべきを、同日午後四時三十八分発の郵便車にて発送したため、一日遅延し、上訴提起期間を経過するに至つたものであり、これを理由なきものと認めてなされた原裁判所の決定は失当であると謂うにある。
そこで審按するに、右抗告人の主張は孰れも本件記録中の各疏明書類の記載に徴し、明らかであつて、右は刑事訴訟法第三百六十二条による事由があるものと認められる。
よつて本件抗告を理由あるものと認め、刑事訴訟法第四百二十六条第二項に則り原決定を取消し、さきになした抗告人の本件上訴権回復の請求を許容すべきものとし、主文のとおり決定する。